「悠久なる十月」の舞台設定。設定を読まなければ、理解できない小説というのもいかがなものかとは思いますが・・・。


主人公たち
 母星を失い、長い旅の果てに地球に移住した異星人たちの子孫。基本的には、地球人とほぼ同じ身体構造をしているが、肉体の一部に地球の動物のものに似た器官をもつ(例として、神天族の翼、神狐族の耳と尾など)。また、身体能力も地球人を遥かに凌ぐ。
 外見的特徴により、神天族(背に鳥の翼)、神狐族(狐の耳と尾)、神狼族(狼の耳と尾)など、種族分けされている。とはいえ、交配に問題はないので、『民族』と解釈してよい。地球人との交配も理論上は可能。
 彼らは自分の肉体の動物の部分を「神が宿っている」と考えるため、自らを「神宿(かみやどり)」地球人を神の宿っていない者「神無(かんな)」と呼ぶ。(特に差別的な意思はない)
 他に、地球人との違いとしては、寿命が200年を超えること、『要素』を認識、または操作できること(別項で解説)
 彼らは20歳前後までは地球人と同じように成長するが、老化が始まるのは概ね150歳を過ぎてから。


歴史
 埋蔵資源の枯渇と人口増加、環境の悪化によって地球を半放棄し、地球人類は生活圏を主に月、火星に移した時代。
 そこへ、異星人の巨大移民船が飛来。異星人は地球への移住を希望するが、地球人類はこれを拒否し、防衛戦と称して宣戦布告する。地球軍は旧世紀の負の遺産である核兵器までも使用するが、異星人の空間兵器、概念兵器の前に惨敗を喫し、移住を受け入れることとなる。後に「神遇戦」と呼ばれるこの戦争での地球側の死者数は不明、異星人側は十数名だったと言われている。
 移住の前に、異星人は地球の徹底的な浄化を行い、地球上の放射能や有害化学物質を除去。地球の環境は10年ほどで産業革命以前の状態まで回復。異星人たちはその後、本格的に移住を開始した。


生活
 資本主義に近い社会構造。しかし、基本的に各家庭は自給自足で生活しており、商店等を経営しているものでも、自分の田畑は耕作している。農作業の大部分は「効果器(別項で解説)」によって行われるため、実際の作業時間はかなり短い。
 自給自足とはいえ、牛・豚・鶏・羊などの家畜に関しては専業の農家が大部分を占めている。
 エネルギーとして使用されるのは、電力と可燃ガス、薪、木炭など。
 電力の供給方法としては、太陽光と風力を主に用いている。太陽光発電機は各家庭で設置・維持し、風力発電機は地域ごとの合資会社が建設・維持している。
 自動車の燃料はBDF(Bio Diesel Fuel)や生物生成ガス(動植物の死骸・糞尿から発生する可燃ガス)。軽車両であれば、モーター駆動も用いられる。


要素
 「神宿」の人々は、「神無」には認識できない「要素」を認識・操作することができる。
 「要素」とは、この世界のすべてを根本付ける「概念」とも呼べるもの。その一部は四元説や五行説と重なる部分もある。
 神宿が要素を認識できるとは言っても、種族ごとにその扱える要素は限られており、神天族ならば「風」の要素、神魚族ならば「水」の要素と、多くの場合は一つの要素のみ認識・操作することができる(神天族はこの能力によって飛行する)


効果器
 神宿が地球に移住する以前から使用していた機械。神遇戦では主に兵器として使用された名残からか、現在でも武器の形状をとるものが多い。
 効果器は「空間固定式」「座標打点式」「要素抽出式」の三種類に分けられる。

 空間固定式と座標打点式の違いは、効力の及ぶ範囲の違いのみで、大きな差異はない。
 空間固定式は、任意の空間を指定し、その空間内の物理法則を操作することができる(物体の移動から原子レベルでの物質再構成まで、できないことはないと考えてよい)
 座標打点式は、任意の空間上の座標点を指定し、座標点と最大でその周囲数10cmに効果を及ぼす。
 一見、空間固定式は座標打点式の能力も兼ねるようだが、空間固定式は「空間」を指定するため大雑把な作業ならばよいが、細かな作業は得意としていない。そのため、座標打点式も必要となる。
 これら二種の効果器は特殊な電池によって稼動する。

 要素抽出式は、前述二種の効果器とは根本的に異なり、要素を抽出し、操作する効果器。神遇戦以前には存在しなかった効果器で、完全に武器として開発されたもの。
 要素を抽出し、抽出した要素自体をエネルギーとして稼動するため、理論的には永久に稼動させることが可能(あくまで理論的にであって、効果器自体のメンテナンスは必須)


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